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第7回|ストレスと免疫(最終回)

目次

ストレスと免疫

―「気にしすぎ」が免疫を攻撃するとき、あなたの“内なる声”はどう応えているか?


◆その不調、“気にしすぎ”のせいだと思っていませんか?

「気にしすぎる性格だから、体調を崩しやすいんです」
「ストレスがたまっているだけだと思います」

──そう言って、自分の不調を“性格のせい”にしてしまう人が後を絶ちません。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。

あなたが“気にしすぎている”のではなく、
“気にし続ける状況”に置かれてきただけかもしれない。

そしてその状態が、あなたの免疫を、知らないうちに攻撃モードへと変えていたとしたら……。


◆「ストレスが免疫を下げる」──これは、ただの比喩ではない

まず、よく耳にするこの言葉の“科学的な背景”を整理してみましょう。

ストレスを受けると、脳内の扁桃体が反応し、視床下部→下垂体→副腎皮質というルートでコルチゾールというホルモンが分泌されます。
これが一時的ならば炎症を抑える働きをしますが、慢性化すると逆に免疫の調節機能そのものを狂わせてしまうのです。

結果として:

  • 炎症を“抑えすぎ”て感染症にかかりやすくなる人
  • 炎症を“抑えられず”に、アレルギー・自己免疫疾患を発症する人
  • 免疫が“過剰警戒”となり、慢性疲労・倦怠感を引き起こす人

が、現れてきます。

つまり、「気にしすぎ」は“心の反応”であると同時に、“免疫の過活動”でもあるのです。


◆「私はなぜ、こんなに気にしてしまうのだろう?」という問いの正体

ここで、メタ認知の視点を持ってみましょう。

  • 「私って神経質だな」
  • 「また悪いほうにばかり考えてる」
  • 「気にしなければいいだけなのに…」

こうしたセルフトークの裏には、
“気にしないほうがいい人間”にならないといけないという圧力が潜んでいます。

でも、その前に問いかけてほしいのです。

私はいつから、“気にしなければいけない自分”になったのか?

  • 「失敗してはいけない」
  • 「ちゃんとしていないと評価されない」
  • 「空気を読まなきゃいけない」

──これらの刷り込みが、「身体の緊張」と「免疫の過剰反応」を日常化させているのです。


◆免疫が正常に働くのは、“安心”があるとき

オキシトシン、セロトニン、ドーパミン。
これらの“安心ホルモン”が分泌されると、
副交感神経が働き、免疫は本来のバランスを取り戻します

この状態で起こること:

  • 炎症が鎮まり、傷の治癒が早まる
  • NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が適切に働く
  • 腸内環境が整い、善玉菌が優勢になる
  • 呼吸と心拍が整い、睡眠の質が向上する

つまり、「気にしすぎをやめる」のではなく、
“気にしすぎなくてすむ場”を身体からつくることが最も現実的な解決策なのです。


◆鍼灸は、“心が静まる身体”をつくる方法のひとつ

当院の施術でも、「最初は不安と緊張でいっぱいだった方」が、
3〜5回目あたりからこう語るようになります。

「なんだか“考えすぎる癖”が薄れてきた気がします」
「寝る前に“今日の自分”を責めなくなった」
「体が先に“落ち着いていいよ”って言ってくれてる感じがする」

これには、生理学的な理由があります。

鍼灸によって起こること

  • 迷走神経の活性化 → 安心反応が起動
  • 皮膚・筋膜・経絡からの入力 →「今ここ」への意識の回帰
  • 呼吸・心拍・体温の安定 → 炎症マーカーの低下
  • “身体からの安全信号”が、脳に伝わることで、心の警戒が解かれる

つまり鍼灸は、“心”を直接癒やすのではなく、“心を縛っていた体”をほどく技術なのです。


◆まとめ:「気にしすぎ」の正体と、あなたの免疫

  • あなたは“気にしすぎの人”ではない
  • そうならざるを得ない環境と反応パターンを背負ってきただけ
  • 免疫は、あなたのその“張り詰めた生き方”に反応していただけ

そして、それは変えられる。
あなたが安心し始めた瞬間から、免疫もまた“あなたを守る存在”に戻るのです。


全7回を終えて

「免疫」とは、単なる“身体の警備隊”ではなく、“生き方そのものの反映”でした。

  • 清潔すぎる日常に傷つく免疫
  • 信じすぎる治療に迷う免疫
  • 他人との比較で自己を攻撃する免疫
  • 気にしすぎて過剰反応する免疫

でも、どんなときも、免疫は“あなたを生かそう”としてきたのです。

だから、耳を澄ませてください。
あなたの免疫という名の声は、今日もあなたを守ろうとしています。

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