「マッサージして、その時は軽い。でも翌日には戻る。」
これはあなたの身体が弱いからでも、施術が無意味だったからでもありません。むしろ逆で、**“戻る”には理由(仕組み)**があります。ここを見誤ると、いくら揉んでも、ストレッチしても、同じ場所に同じ負担が集まり続けます。
※このページでは「戻る=悪」ではなく、戻る仕組みをほどいて“定着”へ進むための地図をお渡しします。
“戻る”を引き起こす4つのレイヤー(ここが本題)
揉んで一時的に軽くなるのは、主に**表層(浅い層)**に変化が出るからです。
でも「戻る人」は、表層の下にある“戻る条件”がそのまま残っています。
1)組織レイヤー:表層は柔らかくなりやすい/深層は残りやすい
- 表層(皮膚・浅い筋膜・表層筋):血流が変わりやすく、触りやすい。変化が出やすい。
- 深層(深層筋・腱・骨際・深部の筋膜):姿勢の土台。触りにくく、緊張が“芯”として残りやすい。
表層を緩めると楽になります。
でも深層の“芯”が残っていると、身体はまた同じ姿勢・同じ動きに戻ろうとします。

2)神経レイヤー:痛みは“防御”=ブレーキが入っている
コリや痛みは、単なる硬さではなく、身体があなたを守るために入れる**防御(ブレーキ)**でもあります。
たとえば、首肩がつらい人の多くは、
- 呼吸が浅い
- 肩がすくむ
- 背中が丸い
- 肩甲骨が動かない
こうした条件が重なって、首が“代わりに頑張る”状態になっています。
揉む→一瞬ブレーキが緩む→しかし動き方が変わらない→また首が頑張る→戻る。
これが「戻る」の正体のひとつです。
3)動作レイヤー:身体は“慣れた動き”に戻る
身体は、良い悪いより慣れたパターンを優先します。
だから、深部の緊張が少しゆるんでも、動作のクセ(肩すくめ、腰反り、膝ロック、片脚荷重…)が残っていると、数時間〜数日で戻ります。
結論:
戻らないためには「緩める」だけでなく「動き」を変える必要があります。
4)生活レイヤー:原因は“何をしているか”より“どの姿勢で何時間か”
戻る人ほど、次の条件があります。
- 同じ姿勢が長い(PC・スマホ・運転・立ちっぱなし)
- 疲労が抜けない睡眠
- 運動していても“同じフォーム”の反復
- ストレスで呼吸が浅い
つまり、身体にとっては
「治しても、毎日また作り直される」状態。
ここまで見て初めて、揉むだけでは追いつかない理由が見えてきます。
“表面”と“深層”の決定的な違い:役割が違う
ここが一番大事です。
- 表層筋=動かす筋肉(アクセル)
- 深層筋=支える筋肉(姿勢と安定の土台)
深層が固いままだと、表層は過労になります。
表層を揉んで楽になっても、深層が固いままだと、表層がまた頑張り始めて戻ります。
「揉んでも戻る」は、言い換えると
“アクセルを整えても、ブレーキが外れていない”状態です。
では、深層筋鍼法は何を変えるのか?
深層筋鍼法は、ざっくり言えば
深部に残る“コリ(ブレーキ)”を、正確に狙って変化させる技術です。
揉みやストレッチが届きにくい場所でも、鍼は
- 深層筋・腱付着部・骨際のポイント
- “コリ”の中心(痛みや動きの引っかかりの核)
に、必要な刺激を届けやすい。
ただし誤解してほしくないのは、鍼は魔法ではなく道具です。
変化が定着するかどうかは、「その後の動作」が握っています。
当院の結論:戻らないための順番はこれ
当院が重視する順番は、次の3ステップです。
① 深層のブレーキを外す(深層筋鍼法)
まず“戻る芯”に触れて、深部の緊張をほどく。
→ 土台が変わるから、動きが変えられる
② バランスを整えて抜けやすくする(必要ならYNSA)
緊張が強い、睡眠が浅い、過敏で力みやすい方は補助が有効なことがある
→ 変化を受け取りやすい身体にする
③ 動きを再学習して定着させる(動作リカバリー)
“良くなった状態”を、その場で終わらせず
立つ・歩く・上げる・回すなどの動作として固める
→ これが「戻る」を終わらせる本丸
今日からできる“戻りチェック”3つ(セルフ評価)
※痛みが強い場合は無理をしないでください。
- 振り向き:首だけで回していない?(胸から回る?)
- バンザイ:肩がすくむ?肋骨が開いて腰が反る?
- 片脚立ち10秒:左右差が大きい?足指が踏めない?
これで引っかかる人は、表層を揉むより先に
深層のブレーキ+動作のクセが疑わしいです。
鍼に懐疑的な方へ(正直な話)
「鍼って効くの?気のせいじゃない?」
この疑問は健全です。だから当院は、“信じてください”ではなく、こう進めます。
- 評価 → 施術 → 再評価で変化を確認する
- 変化が出たなら、なぜ出たかを説明する
- 変化が薄いなら、別の可能性(医療機関の確認含む)を提案する
鍼は万能ではありません。
ただ、深層のブレーキに対しては、選択肢として強い武器になり得ます。
まとめ:揉んでも戻る人は「揉む場所」ではなく「戻る条件」を変える
- 表層は変わりやすいが、深層の芯が残ると戻る
- 戻るの正体は、深層のブレーキ+動作のクセ+生活負荷
- 深層筋鍼法は、深部の芯に届かせやすい
- 仕上げは「動作の再学習」=定着
もしあなたが「その場しのぎを卒業したい」と思うなら、
次にやるべきは“もっと揉むこと”ではなく、
深層のブレーキを外し、動きを作り直すことです。
