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筋膜障害とは?「ほぐしても戻る痛み」の正体をほどく話

「マッサージしてもすぐ戻る」
「ストレッチしても伸びない」
「痛い場所が移動する、広がる」

そんな不調の背景に、“筋肉そのもの”ではなく、筋膜(きんまく)のコンディションが関わっていることがあります。

ただし最初に大事な前提です。
「筋膜障害」は医学的にひとつの病名として確立した言い方ではありません。
現場では、筋膜を含む軟部組織の“滑走不全(動きの悪さ)”や“過緊張”、それに伴う筋膜性疼痛(myofascial pain)をまとめて、便宜的に「筋膜が原因っぽい不調」と呼ぶことが多い、という位置づけです。


目次

筋膜とは何か

筋膜は、身体のあらゆる場所にある薄い膜状の結合組織で、筋肉・内臓・神経・血管などを包み、支え、区切り、滑らかに動けるように助けています。健康な筋膜はしなやかで、動きに合わせて伸び縮みします。


筋膜“障害”が疑われるときの典型サイン

筋膜が関係する不調は、次のような形で現れやすいです。

  • 痛みが「一点」ではなく、のように広がる
  • 押すと痛い点があるのに、痛みが別の場所に飛ぶ(関連痛)
  • 朝や動き始めが硬い/同じ姿勢が続くと固まる
  • 可動域が出ない(例:肩が上がらない、腰が回らない)
  • しびれ“っぽい”違和感(ただし神経障害とは別のことも多い)

これらは、筋膜も含む筋・腱のトラブルでみられる筋膜性疼痛症候群(MPS)の特徴とも重なります。


筋膜が痛みを出しうる根拠

筋膜は「包むだけの膜」ではなく、痛み(侵害受容)や固有感覚(位置感覚)に関わる神経終末が豊富だとするレビューがあります。病的状況では侵害受容器が増えうる、という指摘もあり、筋膜自体が痛みの発生・増幅に関与しうると考えられています。


なぜ“戻る”のか:筋膜の「滑り」と「ブレーキ」

「ほぐしても戻る」ケースで多いのは、痛い場所だけをケアしても、戻る条件が残っているパターンです。

代表的な戻る条件はこの3つ:

  1. 同じ姿勢・同じ動作の繰り返し(PC、スマホ、運転、立ち仕事など)
  2. 呼吸が浅い/胸郭が硬い(肩がすくみ、首肩へ負担集中)
  3. 深部のブレーキ(深層筋+筋膜)の緊張が抜けない

“滑走不全”とヒアルロン酸(HA)仮説

筋膜・筋間の滑走には、組織間の潤滑に関わるヒアルロン酸(Hyaluronan/HA)が注目され、HAの“凝集(densification)”が滑走不全や症状に関係する可能性が議論されています。 ※ただし、病態の全てがこれで説明できるわけではなく、臨床的には「硬さ・痛み・動作の崩れ」を総合して評価するのが現実的です。


自分でできる「筋膜セルフケア」:まずは3つだけ

筋膜系の不調は、強く押して“壊す”よりも、小さく、こまめに、戻る条件を減らすほうがうまくいきやすいです。

① 2時間に1回「立つ・歩く」だけ

座りっぱなしは、筋膜も含めて“固まりやすい条件”を作ります。
1〜2分でいいので歩く。これが最強です。

② 温めてから動かす(いきなり伸ばさない)

冷えた状態で強く伸ばすと、逆に防御性の緊張が入りやすいことがあります。
入浴・蒸しタオル・カイロなどで温めてから、軽く動かす。

③ 呼吸で「肩がすくむ癖」を外す

胸郭が動くと、首肩の過緊張が落ちやすくなります。

  • 鼻から吸って、口から細く長く吐く(吐く方を長めに)×5回

受診や医療機関の確認を優先すべきサイン(重要)

筋膜っぽく見えても、別の疾患が隠れていることがあります。次は要注意です。

  • 進行するしびれ・筋力低下、歩きにくさ
  • 排尿排便の異常、会陰部のしびれ
  • 発熱、夜間痛、強い外傷後、原因不明の体重減少
  • いつもと違う激しい頭痛、意識の異常

こういう場合はセルフケアや施術より、まず医療機関での確認が安全です。


当院の考え方(治療院ブログとして)

ゆかわ鍼灸マッサージ治療院では、「筋膜っぽい痛み」を筋膜だけの問題として片づけません。
なぜなら、多くは 深層筋のブレーキ+姿勢・呼吸+動作の癖がセットで絡むからです。

当院の基本方針はこの流れです。

  1. 深層筋鍼法で、奥に残る“芯”の緊張を丁寧にほどく
  2. 必要に応じてYNSAで緊張バランスを補助し、抜けやすい状態へ
  3. 動作リカバリーマッサージで「戻る動き」を整え、日常に定着させる

「軽くなったのに戻る」を卒業するには、最後の“動きの再設計”が効いてきます。


よくある誤解:筋膜は“万能原因”ではない

筋膜ブームで増えた誤解もあります。

  • 「全部筋膜のせい」→ そうとは限りません。関節・神経・内臓反射など他要因も。
  • 「痛いほど剥がれる」→ 痛み刺激で防御緊張が増えることもあります。
  • 「一発で完全に治る」→ 多くは“戻る条件”を減らす積み重ねが鍵です。

まとめ:筋膜障害っぽい不調は「条件を変える」と伸びる

筋膜障害(筋膜性疼痛っぽい不調)は、
ほぐすだけよりも「戻る条件(姿勢・呼吸・動作・生活負荷)」を一緒に変えると改善しやすくなります。

もしあなたが、
「揉んでも戻る」「伸ばしても変わらない」「痛みが広がる」
そんな状態なら、一度“奥のブレーキ”と“動き方”を整理してみてください。

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