整形外科で「異常なし」と言われた腰痛 ── 原因は深層筋のコリかもしれません
「整形外科でレントゲンを撮ったけど異常なしと言われた」「痛み止めとシップを出されただけで終わった」「ヘルニアでも狭窄症でもないのに、なぜこんなに痛いのか」── こうした声は、当院に腰痛で来院される方から非常に多く聞かれます。
この記事では、施術歴32年の鍼灸師が「画像検査で異常がないのに痛い腰痛」の正体と、深層筋鍼法によるアプローチを解説します。
なぜ「異常なし」なのに腰が痛いのか
整形外科のレントゲンやMRIは、骨・椎間板・脊柱管の構造異常を見つけるための検査です。ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折といった「構造的な問題」は映ります。
しかし、筋肉のコリは画像検査に映りません。
実は、腰痛の約85%は「非特異的腰痛」── つまり画像検査で原因が特定できない腰痛だと言われています。骨や椎間板に問題がなくても、腰周辺の筋肉が慢性的に過緊張を起こしていれば、強い痛みやしびれは十分に起こり得ます。
この「画像に映らない腰痛」の犯人が、腰の深層筋のコリです。
腰痛の「犯人」── 骨ぎわに隠れた3つの深層筋
① 多裂筋(たれつきん)── 背骨を支える「鋼線」
多裂筋は、背骨の一つ一つの椎骨をつなぐ深層筋です。脊柱の安定に不可欠な筋肉で、慢性肩こりの記事でも紹介しました。腰の多裂筋は特に厚く、長時間の座位や不良姿勢で石のように硬くなります。
多裂筋が硬くなると、背骨の一つ一つの関節が動きにくくなり、「腰が固まった感じ」「朝起き上がるときに痛い」「同じ姿勢が続くとズーンと重い」という症状が出ます。背骨に密着しているため、マッサージの指では到達できません。
② 大腰筋(だいようきん)── 腰の「奥の奥」にある最重要筋
大腰筋は、腰椎の前面から骨盤を通って太ももの骨(大腿骨)につながる深層筋です。身体の最も深い位置にあり、「腹筋の奥」「お腹側から腰を支えている筋肉」と表現すると分かりやすいかもしれません。
大腰筋が硬くなると、腰椎が前方に引っ張られ、反り腰の原因になります。長時間座っていると大腰筋は縮んだまま固まり、立ち上がるときに「腰が伸びない」「歩き始めが痛い」という症状が出ます。坐骨神経の近くを通っているため、大腰筋の過緊張が坐骨神経痛の引き金になるケースも少なくありません。
③ 腰方形筋(ようほうけいきん)── 骨盤と肋骨をつなぐ「横の支え」
腰方形筋は、骨盤の上縁(腸骨稜)から第12肋骨と腰椎をつなぐ深層筋です。体幹を横に傾けたり、腰を安定させる役割を持ちます。
片側だけが硬くなると骨盤が引き上げられ、左右差のある腰痛が発生します。「右側(または左側)だけが痛い」「横に曲げると痛む」「くしゃみで腰に響く」という方は、腰方形筋の過緊張が疑われます。
この3つの深層筋に共通するのは、身体の深い位置にあり、指では届かず、画像検査にも映らないということ。だからこそ、整形外科では「異常なし」と言われ、マッサージでは根本解決に至らないのです。
深層筋鍼法 ── 腰の「奥の奥」に鍼で直接届ける
| マッサージ・指圧 | 一般的な鍼灸 | 深層筋鍼法 | |
|---|---|---|---|
| 到達する層 | 表層筋(脊柱起立筋表面) | 表層筋〜中間層 | 深層筋(骨ぎわ) |
| 多裂筋・大腰筋 | 届かない | 浅い鍼では不十分な場合あり | 直接到達できる |
| 効果の持続 | 数時間〜1日 | 数日 | 根本のコリが溶けるため長期持続 |
| 坐骨神経痛への対応 | 表面からの間接的な緩和 | ツボへの刺激で調整 | 大腰筋・梨状筋を直接ゆるめる |
深層筋鍼法では、触診で多裂筋・大腰筋・腰方形筋のコリの「中心点」を特定してから、直径0.2mmの鍼を1本ずつ丁寧に進めます。
特に大腰筋は身体の最も深い位置にあるため、一般的な鍼灸では到達が難しい部位です。深層筋鍼法の技術をもって初めて、適切な角度と深さで大腰筋に到達し、コリを直接ゆるめることが可能になります。
鍼がコリの中心に到達すると、「ズーン」という独特の響き(ひびき)が出ます。腰の深いところで「何かがゆるんだ」感覚 ── これが深層筋鍼法の特徴です。
坐骨神経痛にも ── 大腰筋と梨状筋へのアプローチ
お尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけてのしびれや痛み ── いわゆる坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が原因とされることが多いですが、ヘルニアでも狭窄症でもないのに坐骨神経痛が出ているケースは少なくありません。
その場合、大腰筋や梨状筋(お尻の深層筋)の過緊張が坐骨神経を圧迫・刺激している可能性があります。これが「梨状筋症候群」と呼ばれる状態で、画像検査では捉えられません。
深層筋鍼法では、大腰筋と梨状筋の両方に鍼で直接アプローチできます。筋肉の緊張が解除されることで、坐骨神経への圧迫が緩和され、しびれや痛みが軽減していきます。
当院の腰痛施術 ── 3技術で「表面」と「根っこ」を両方ほぐす
STEP 1. あん摩マッサージ指圧── まず表層の脊柱起立筋や殿筋群の緊張を手技でほぐし、血流を回復。鍼の効果が深層まで伝わりやすい状態を作ります。
STEP 2. 深層筋鍼法── 本丸である多裂筋・大腰筋・腰方形筋のコリに、触診で特定した一点に向けて鍼を進めます。坐骨神経痛がある場合は梨状筋にも施術します。
STEP 3. YNSA(山元式新頭鍼療法)── 頭皮上のポイントに鍼を刺し、痛みの抑制系を活性化。深層筋鍼法との相乗効果で、痛みの「戻り」を抑えます。慢性腰痛に伴うストレスや睡眠障害にも効果的です。
改善の一般的な経過
※改善の速度や程度には個人差があります。以下は一般的な傾向としてご参照ください。
| 時期 | 変化の傾向 |
|---|---|
| 初回直後 | 「腰が伸びる」「立ち上がりが楽」という即時的な変化。施術後にぐっすり眠れたという方が多い。 |
| 2〜4回目 | 朝の起き上がりが楽になる。長時間座った後の重だるさが軽減。坐骨神経痛がある場合、しびれの範囲が狭くなり始める。 |
| 5〜8回目 | 「腰が痛い」と意識しない時間が増える。日常動作(かがむ・立つ・歩く)が自然にできるようになる。 |
| 8回目以降 | 月1回のメンテナンスで良い状態を維持。「以前のように動けない」状態には戻らなくなる。 |
実際の改善事例は腰痛の症例集もあわせてご覧ください。
※当院は医療機関ではありません。腰痛の原因が内臓疾患や重篤な脊椎疾患でないことを確認するために、まず整形外科での検査を受けてから来院されることをおすすめします。
よくある質問
Q. 整形外科でヘルニアと言われたのですが、鍼灸で対応できますか?
多くのケースで対応できます。ヘルニアが画像で確認されても、実際の痛みの原因はヘルニアそのものではなく、周辺の深層筋(大腰筋・多裂筋)の過緊張であることが少なくありません。深層筋の緊張を鍼でゆるめることで、痛みやしびれが大幅に軽減するケースを多く経験しています。ただし、排尿障害や急速な筋力低下がある場合は医師の判断を優先してください。
Q. 腰に鍼を刺すのは怖くないですか?
鍼の太さは直径0.2mm。髪の毛とほぼ同じ細さで、注射針の約1/3です。腰の深層筋に向かってゆっくり1本ずつ進めますので、急な痛みはありません。深層筋に到達した際の「ズーン」という響きを感じますが、ほとんどの方が「痛みというより圧迫感」と表現されます。
Q. ぎっくり腰の急性期でも受けられますか?
受けられます。急性期のぎっくり腰では、過緊張を起こしている筋肉を鍼で直接ゆるめることで、回復が早まることが期待できます。痛みが強くうつ伏せが難しい場合は、横向きや座った姿勢での施術も可能です。
Q. 肩こりや頭痛も同時にあるのですが、一緒に診てもらえますか?
もちろん対応できます。慢性腰痛と慢性肩こりは、多裂筋が頸椎から腰椎まで一つの筋肉として繋がっているため、同時に起きることが非常に多いです。当院では腰と首・肩を一体として施術します。
「異常なし」は「原因がない」という意味ではない
整形外科で「異常なし」と言われたとき、それは「骨や椎間板に構造的な問題はない」という意味です。「あなたの腰は健康です」という意味ではありません。
画像に映らない深層筋のコリ ── 多裂筋・大腰筋・腰方形筋の慢性的な過緊張が、あなたの腰痛の「犯人」かもしれません。
「何年も整形外科に通っているが良くならない」「シップと痛み止めでごまかしている」「マッサージに行っても翌日には戻る」── そうした方にこそ、深層筋鍼法という選択肢を知っていただきたいと思います。
UPCOMING EVENT
2026年6月27日(土)〜28日(日)
深層筋鍼法ワークショップ in 札幌
深層筋鍼法の創始者・角谷敏宜先生(なおし家鍼灸院 院長)が来札。
2日間の集中ワークショップで、深層筋鍼法の理論と実技を直接学べます。
対象:鍼灸師・鍼灸学生
この記事を書いた人
湯川 研一(ゆかわ けんいち)
ゆかわ鍼灸マッサージ治療院 院長。鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師(国家資格3種保有)。施術歴32年、延べ4万人以上の臨床実績。深層筋鍼法 第5期鍼灸師養成コース修了。YNSA治療師。札幌市中央区にて、腰痛・坐骨神経痛・慢性肩こり・パニック障害・脳卒中後遺症を中心に施術を行う。
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